飲みときどき推し

色々推しつつ麦葡萄芋由来の酒全般を何かにかこつけこじつけ嗜んでいます。今の推し→ゴールデンカムイ、Perfume、ハロプロ(主に娘。とBEYOOOOONDS)等

212話の月島の鯉登をめぐる逡巡がエモいという話

22巻発売まであと1か月切った!たのしみ、、!

 

22巻は212話の追いかけっこから始まるわけなんだけど、その212話に、刺された鯉登を月島が気遣うシーンがあって、すっごく好きなんですよね。

逃げた杉元アシㇼパを追っている最中のできごとで、杉元アシㇼパを逃さないためには鯉登はじめ負傷者はとりあえず捨て置かないといけない場面。

ここで月島の表情を抜くコマがあるんだけど、明らかに何か悪い考えが逡巡してる気配が。

f:id:yoko45tkm:20200531014122j:plain

(この月島の背景のトーンって、何か良くない方向の考えが頭にあるときに使われてきたやつだよね)

 

具体的には、鯉登を見捨てるという後ろ暗い考え。この時鯉登は結構な重傷を負っていて、要は鯉登を文字通り見殺(しに)す(る)という考えが一瞬頭をよぎったであろう瞬間がこのコマ。

だけどこの後月島は実際には、鯉登のそばについて看病するんですよね。杉元アシㇼパを追うよう命令されるのを無視してまで。

鯉登を見殺しにするという後ろ暗い考えを明確に月島の意思で退けた瞬間であり、月島が鶴見の感情なき人形から離れる大きな兆候が表れた場面だとも思う。

 

月島にしてみれば鯉登って、狂言誘拐に利用した道具であり、今は手のかかるお世話兼お目付けの対象であり、このシーンの前夜(210話)をもって鶴見中尉に反旗を翻しかねない危険分子であり、何より自分と違い救われ祝福されている存在であり…と、どうでもいいどころか妬み憎しみモリモリでいつ消してもいい奴くらいの勢いでもおかしくない。

(※妬みや憎しみといった、自尊心・自我が存在する上に生じる感情を、210話で自分自身にとことん価値を認めてなかった月島が抱くか?と疑わなくもないけれど…後の出産回で、江渡貝くん回想や自我の回復をし得た程度には月島って言うほど自分を捨て切れてないので、そういう感情どちらかというと持ってそうかなと思う)

 

そのうえで、ここでは杉元アシㇼパ確保の任務の中で鯉登をほっとけと命令され、当の鯉登自身も自分を捨て置けと言っていて、合法的に(?)未必の故意で鯉登を亡き者にもできた。

なのに、月島は命令を無視してまで鯉登を助ける選択をしたんですよね。


それは流氷でスヴェトラーナに見せたような月島の甘さによるところも大きいけど、それだけじゃなく、やっぱり鯉登のことを余程護るべき対象と思ってなきゃできないことで。
それが何に起因するのかな~と考えると、月島は鯉登をずっと誘拐当時の16歳之進の延長線上で見ていて、要は軍無関係者を巻き込んだ罪悪感(江渡貝くん的な)と子供ゆえの放っとけなさのブレンドみたいなことになっているのかな、と。

その意味では、妬み憎しみが~とか上述したけれど、同時に鯉登は情けや哀れみの対象でもあり、それゆえに月島は鯉登にドライになりきれなかったのかもしれない。(そういう心持ちでしかも教育係として育ててきてたら、なんなら少々の親心くらい湧いちゃう隙も出来そうだ)

 

スヴェトラーナや江戸貝くんの時から軍無関係者への甘さは月島ちょこちょこ見せていたけれど、その対象に鶴見劇場出演者の軍人鯉登が含まれるとなると趣は大きく変わってくる。

そういう点で、このシーンは月島の大きな脱皮であって鶴見劇場かぶりつきから距離をとりだしたサインであって、めちゃめちゃ重要でエモいシーンで大好きしんどい。

 

あと、さらにこの後の本誌の展開を受けると、月島と鯉登は本当に二人して幸せになってほしい、というか鯉登は割と既に幸せな子なので月島が鯉登と一緒に幸せになってほしい気持ちがとまらんです。

はあ~月島鯉登バディ改めてエモいなあ…永遠に追うし推す…