飲みときどき推し

色々推しつつ麦葡萄芋由来の酒全般を何かにかこつけこじつけ嗜んでいます。今の推し→ゴールデンカムイ、Perfume、ハロプロ(主に娘。とBEYOOOOONDS)等

金カム22巻加筆変更まとめ #1月島鯉登

22巻読了!今回も加筆変更いっぱいあったので備忘まとめ。本誌で全部追ってた話のはずなのに、新たなメッセージが加わってて新鮮に読めるの、本当に野田先生のこだわりには頭が下がりまくる。。

本誌と単行本との照会作業たのしかったですうふふ…!

 

主には平太師匠の狂気・違和感の明確化+過去エピ追加、師団や杉元組も細かいニュアンスが色々足されてる感じなのだけど、まずは我が推し月島鯉登から…22巻しょっぱなから212話はこの2人絡みの加筆が非常によい…!

 

師団の追跡シーンが約1頁追加され町中を駆ける臨場感と躍動感(鶴見ネーター走り健在)。何より鯉登の背景にあのフレップ本舗…先遣隊との落差が切ない…。

続けて、鯉登隊vs杉元の戦闘シーン見開き2ページ追加に、月島鯉登膝枕の細かい加筆もまた良くて。

 

戦闘シーンでは、杉元に銃口を向ける鯉登が「震えている」加筆。

f:id:yoko45tkm:20200623001845j:plain

f:id:yoko45tkm:20200623001927j:plain

とっても細かい加筆なんだけど、心身ともに大ダメージを受けて(身:刺し傷+ 心:昨晩の月島独白)向こう見ずな自信と強さを失った「揺らぎ」まで含め、鯉登がかつてなく弱りきっている様子がひしひし伝わってくる。

同時に、そんな心中グチャグチャな状態でも銃を構える鯉登の諦めなさや戦場に立つ覚悟・意思の強さも逆説的に感じられる。

わずかな線と点の加筆なのにものすごい情報量。

この戦闘シーンは杉元側の描写にも思うところあるのだけど、それは別途。

 

さらに212話最後の膝枕介抱シーンも細かい加筆が多いのだけど、月島の鯉登への入れ込みが本誌よりもフラットで客観的になっている気がした。

f:id:yoko45tkm:20200623002013p:plain

f:id:yoko45tkm:20200623002041j:plain

・鯉登の胸のナイフの長さ・角度修正が2コマ。鯉登の表情が見えづらい

・菊田へ月島が顔を向けた時の口元、本誌では苦々しそうだったのが単行本では真一文字に

・「行け月島」シーンが鯉登のアップに変更され月島の表情が見えない(本誌では鯉登に)

と、鯉登との感情のやりとりがセーブされた印象。

そして最終頁で月島軍曹のモノローグ加筆と、黒目が若干大きく描き足され、鶴見へ明確に視線が向けられている。

f:id:yoko45tkm:20200623002141p:plain

f:id:yoko45tkm:20200623002159j:plain

本誌では、鶴見の取繕わなさへの批判とも鯉登を大切に思う気持ちからの反発ともつかない漠然とした感情が月島の中で完結していたのが、単行本では客観的に明言化された批判に。

この介抱シーンの加筆は総じて、出産回へのつながりを自然にするのと、同話の展開のコントラストを強める意図かなと思った。

単行本見た後に本誌212話おさらいすると、月島がいきなり鯉登に肩入れしすぎていて月島のなりふり構わない鶴見劇場かぶりつき感が弱まり、のちに鯉登にまで銃を向ける説得力が少々欠けるようにも思える。

鶴見への批判が明確になるほど、それでも鶴見劇場にかぶりつく月島の執着も色濃くなる。

 

(ただ個人的には本誌の鯉登に甘々月島も捨てがたい………いやでも「嘘でも心配したらどうですか」も本当声に出して読みたい聞きたい月島語録………野田先生その二択は酷すぎる……)

 

それと鯉登関係でもう1つ、216話最終頁。

モスパパが音之進に「生きちょりゃよか」と伝える直前の様子が、本誌「キョロ…」から単行本「キョロ キョロ…」になってるの。

これもかなり細かい加筆なんだけど、他人に聞かれるリスクの大きさが増している分、それでもなお音之進にこの言葉を伝えたいパパの愛情の強さ、この言葉の重みをいっそう感じてウルッときてしまう。

明治も対象も昭和も、正面突破で同胞のために命を散らすことをオフィシャルな美とする日本軍において、成果を出せず傷を負わされたとて命があるのが何よりだ、なんて将校殿が口にしていいはずがないことだものね。

だけど、パパにとって音之進は、将校になるべく育てたけれどもそれより何よりかけがえのないかわいいかわいい愛する息子であるわけで。

特に生い立ち・親子関係に難ありのキャラクターが多い金カム作中では、この鯉登父子の確かな愛情と信頼という関係性がかなり珍しくて本当に眩しくて。

 

……と、たったの1話ちょっとなのに加筆の情報量がものすごくて、本誌と単行本両方追ってて本当楽しい!

 

追って加筆尾形編・杉ㇼパ編・平太編もあげていく。